大規模修繕比較

どうしても資金が不足する場合

なぜ不足するのか

先の実例を使って、具体的にお話します。

長期修繕計画&管理会社が分譲当初からある

新規にマンションを分譲する場合、管理会社は分譲会社のグループ会社で、その管理会社が長期修繕計画を作ることが一般的です。その場合、全戸を早く分譲したいため、分譲会社は少しでも『安く』見せようと『修繕積立金』を安く設定する傾向があります。

分譲当初は、管理組合等のコミュニティーが発展途上のため集まって問題点を解決するといった動き見られないことが多く見受けられます。そのため、この事に気付かない事が多いのです。

修繕積立金への組み入れが不正な場合

修繕積立金は区分所有者が大規模修繕等のために、毎月一定額を積み立てていくものです。ですが、本来修繕積立金に算入されるべき駐車料金が管理費に算入されているケース、未分譲区画の修繕積立金は本来分譲会社が支払うべきですが、これがなされていない場合があります。

(一般)管理費が割高な場合

区分所有者は、毎月『管理費』、『修繕積立金』を支払っています。この内、『管理費』とは一般マンション管理業務を管理会社に依頼して行っていることに対して支払っている費用です。

管理会社は分譲会社のグループ会社のことが多く、何の競争原理も働かず決まり、割高な費用で、決して高くはない質の仕事というケースが多々見受けられます。

他の管理会社と相見積もりを取り、適正価格にした場合、その差額を修繕積立金に回すことができます。

対策

注意しなければならないのは、『駐車場:94台(機械式85台、平置き7台、来客用1台、使用料無料)』です。

機械式駐車場の経費削減

機械式駐車場は、月額点検費用、小修繕、20年後に更新が必要なことです。 大枠の費用として月額点検費用\3,000-/台、小修繕、5年毎の鉄部塗装、部品交換(築5,10,15年)で¥279,000-、20年後新規に機械式駐車場を更新するとすると\1,488,000-/台、更に築25,30,35年が必要となり、5年毎の鉄部塗装、部品交換で¥279,000-となり40年間で合計¥3,486,000-、月額¥7,262.5-の費用が掛かります。

これを、『無料』としています。 月額点検費用は管理費から出すとしても、小修繕、20年後の更新を考えると月額¥4,262.5-は積み立てておかないと、一時金の徴収となってしまいます。

具体的には築5,10,15年に各\93,000-、築20年に\1,488,000-、築25,30,35年に各\93,000-の一時金徴収になることが予想されます。

1)払う義務のある区分所有者にきちんと払わせる
総戸数93戸、販売戸数:9戸、未分譲が84戸ある点です。修繕積立金は、区分所有者が支払うものですが、未分譲の場合はこの金額を支払う人がいません。そのため、上記金額より、『車が減ると1台当たりの維持費が更に上がる

未分譲の区域が多ければ多い程、期間が長ければ長い程、1戸当たりの負担額が増加します。

実は、『払う人がいない』のではなく『未分譲の区分所有者である分譲会社が払っていない』のです。これには、裏があり、管理組合の規則を作っているのが分譲会社なので、管理規則に『未分譲分につては、一般管理費、修繕積立金を免除する』といった条文があるため支払っていないのです。

2)過剰な点検回数を適正回数に変更する
当初、メーカー系の機械式駐車場は毎月点検になっていることが多い。新品の駐車場の毎月点検は明らかに過剰点検です。これを適正回数である年4回に変えることで無理なく経費削減ができ、この額を修繕積立金に充当することができます。

3)メンテナンス会社を競争入札し直す
当初、メーカー系の機械式駐車場のメンテナンス会社は、メーカー系のグループ会社になっています。これを、独立系も交えた『競争入札』を実行することで適正な価格でのメンテナンスを受けることができるようになります。

4)更新を再度検討する
20年を経過すると機械式駐車場は老朽化して、取り壊しの後新しいものを入れなければならない時期に入ります。 ここで、無条件に更新するのではなく、『取り壊して更新しない』も候補に入れる事が重要です。

なぜなら、マンションの高齢化とともに区分所有者自身も高齢化して車を手放し人が増えてくるからです。開いたスペースを外部に貸して収益を上げることは困難です。例え、順調にお客さんがついた場合でも収益事業として課税対象になり赤字になる可能性が高いからです。

ですので、取り壊し費用が発生した場合でも、今後のメンテナンス費用を考えると、費用が少ない場合も発生します。無条件に更新にせず、『取り壊す』事によって経費削減できる場合もあることを覚えておいてください。
経費を削減でき、これを修繕積立金に充当することができます。

5)駐車料金の算入先を変える
駐車料金は管理費に充当されているケースがあります。本来、機械式駐車場を維持するために必要な費用ですので、点検費用を除き、機械式駐車場の修繕積立金に算入すべき金額です。

もし全額管理費に入っていた場合は、これを変更するだけで修繕積立金を増やすことができます。

エレベーターの経費削減

条件の中には記述されていませんが、エレベーターにも点検、修繕、更新に費用が掛かります。一般的に9人乗りのエレベーター1基でFM(フルメンテナンス)契約で\50,000-はしますので、これの戸割となります。 これを管理費用から捻出するとしても、20年に1回は交換を行う費用として、¥4,500,000-/台は必要です。

全部で3台あるとすると¥13,500,000-で93戸で分担すると¥145,161.3-の一時金徴収が予測されます。

1)過剰点検を適正な点検回数に変更
構造は、機械式駐車場に似ています。エレベーターはメーカー系のメンテナンス会社が分譲当初から毎月点検を行っています。これを適正な年4回に変更することによって経費を削減でき、これを修繕積立金に充当することができます。

2)メンテナンス契約方式を変更する
エレベーターは最初の10年間はほとんど故障はしません。商業施設の1/10程度の稼働率しか無いのですから当然といえば当然です。

当初FM契約(フルメンテナンス)契約で故障した場合全て契約金額内で修理を行う契約ですが、過剰な契約です。

当初の10年はPOG契約、点検と特定消耗品交換だけの契約、その他の部品交換に対しては別途料金を支払う必要はありますが、メンテナンス費用は安く、確率的に高価な部品の交換は発生しないケースがほとんでです。 経費を削減でき、これを修繕積立金に充当することができます。

3)メンテナンス会社を競争入札で決める
メーカー系のエレベーターメンテナンス会社だけが、メンテナンス会社ではありません。独立系のエレベーターメンテナンス会社も入れ再度、競争入札を行うことにより経費を削減できます。 この費用も修繕積立金に充当することができます。

さらに、上記駐車場、修繕積立金と同様に、未分譲分の費用は入りませんし、また空きが発生した場合は、1戸当たりの負担額が増加します。

管理費自身の削減

管理費:月額¥12,900-(MIN)、管理準備金:¥12,900-(MIN 引渡し時一括払い)、この中で機械式駐車場の点検費用を賄うとしてもこの額は高すぎます。せめて、この費用の一部を修繕積立金に回すことが必要と思われます。

当初より分譲会社のグループ会社として入っていただけですので、競争入札で新たに同じ仕事をしてくれる他の管理会社と改めて競争入札をすることで、適正な価格でサービスを受けることができるようになります。

この差額を修繕積立金に充当することで修繕積立金を増やすことができます。

現状の修繕金積立相場

前置きが長くなってしまいましたが、『築年数』、『戸数』により大きくその金額が異なります。 住宅金融公庫の『マンション維持管理基準』では修繕積立金の1戸当りの平均月額は以下のとおりです。 
画像の説明

上記国土交通省の指針と比べると圧倒的に不足していることがおわかりになると思います。上記のような手段を全て使った上で、どうしても大規模修繕工事に要する費用が不足する場合は、『一時金の徴収』、『借入』となります。

組合員の皆さんにとっては大きな負担ではありますが、このような事を全て行ったことをしっかりと説明すれば、余程のことが無い限り理解が得られると思われます。

ここまで努力をしてきたあなたは、その成果を誇るべきものであり、何ら批判される理由は何もありません。

それでも、意見を異にする方がいる場合は、全会一致が理想的ではありますが、民主主義のルールである多数決で決めるしかありません。